ユニバーサル ミュージック合同会社と、講談社「with class mama(注1)」がタッグを組んだ、令和の⼦育て世代のための⾳楽プロジェクト「KIDS MUSIC PARK」。“⼦育て世代のリアルな声を元にコンテンツを⽣み出していきたい”という想いのもと、親子の絆を深める音楽コンテンツを発信している。
プロジェクト第一弾として、現役のパパママの声を取り入れて制作された、音楽ユニット・ケロポンズによる楽曲『チューざぶろー』がリリース。プロジェクト立ち上げの背景やリリースまでの経緯、楽曲に込めた想いについて、ユニバーサル ミュージックの大平直子さんに話を聞いた。
(注1) 講談社の⼥性向けライフスタイルウェブサイト「with class」と、総フォロワー366万⼈を超える現役ママインフルエンサーが共同運営する⼦育てメディア。
子育て世代と共に歩む。ユニバーサル ミュージックの新たな挑戦
世界60以上の国と地域に拠点をもつ、世界最大の音楽企業グループ「ユニバーサル ミュージック グループ」。その日本法人であるユニバーサル ミュージック合同会社は、音楽に関わるあらゆるエンターテインメント事業を展開。日本の音楽シーンをリードし続けている。
そんなユニバーサル ミュージックが新たに発表したのが「KIDS MUSIC PARK」という子育て世代に向けた音楽プロジェクトだ。なぜいま、子育て世代や、子どもたちに向けたコンテンツに注力しようと考えたのだろうか。
「弊社では幅広いジャンルの音楽を発信していますが、その中でも子ども向けコンテンツはもっと増やしていきたいと思っていました。もちろん取り組んだ事例も複数ありますが、大々的なプロジェクトとして動いた例はまだ少なく……。令和の子育てに寄り添える音楽コンテンツを増やすために何かできないかと真剣に考えたのが、このプロジェクトの始まりです」

そう語るのは、ユニバーサル ミュージックのUSM邦楽という、カタログと呼ばれる音楽レーベルが所有する旧譜を主に取り扱うレーベルでメディア宣伝を手掛ける、大平直子さん。自身も子育て中の母親という立場から、プロジェクトの立ち上げメンバーとして声がかかったという。
「プロジェクトを立ち上げるうえで何より大切にしたかったのは『子育て世代のリアルな声をもとにコンテンツをつくること』。一方的に楽曲をつくって届けるのではなく、子育て中の方々と一緒に考え、育てていけるようなプロジェクトにしたいと思っていました。その想いは、いまも変わらず持ち続けています」
ママたちのリアルな声が音楽に。ユニバーサル ミュージックと「with class mama」の共創ストーリー
その後、「子育て世代のリアルな声をもっと広く、深く取り入れていきたい」という思いを実現するにはどう進めていけばいいのか……。方向性を模索するなかで、出会ったのが「with class mama」だったという。

「with class mama」は、講談社「with class」の編集部と、ママインフルエンサー集団が共同運営するInstagramアカウントを中心としたプロジェクトだ。合計366万人のフォロワーを抱える現役ママインフルエンサーが「現場の生の声」を吸い上げながら、子育て世代が本当に必要としている情報を発信している。
「with class mama」との出会いについて、「ここまで子育てに特化したプロジェクトがあったとは把握していませんでした」と話す大平さん。当時の印象についても聞いてみた。
「『with class mama』の記事やママインフルエンサーの皆さんの投稿からは、自身の子育て経験を活かし、しっかりと勉強したうえで発信されているのが伝わってきて、同じママとして刺激を受けました。ここまで知識も発信力もある現役ママのチームがいることを知ったときは、大変心強かったですね」
忙しい毎日で感じる子育ての葛藤と後悔。ワークショップで浮かび上がった、ママたちの本音
こうしてユニバーサル ミュージックと「with class mama」のコラボプロジェクトが本格始動。2023年9月には、プロジェクトの方向性を探るために「with class mama」メンバーを集めたワークショップが開催された。当日は、「子育て中にもどかしさを感じるシーン」や「子どもたちが好きな音楽」、「どんな時に音楽を聴いているのか」など、幅広いテーマで活発な意見交換が行われたという。
「ワークショップに参加してくれたママたちは、モンテッソーリ教育に携わっている方や、19時消灯のための時短テクを発信している方など、それぞれ得意分野を持つ人ばかり。多角的な視点から意見を聞くことができました」

一方で、共通して抱えている子育ての悩みや「こうしたい」という思いには、似通っているものがあったと話す大平さん。特に多く出ていたのが、第一弾楽曲『チューざぶろー』にもつながる「自己肯定感」というキーワードだった。
「ワークショップでは、“子どもの自己肯定感を高めたい”という思いだけでなく、“子育てに奮闘している自分自身の自己肯定感も高めたい”という意見が多く聞かれました。
今や、約7割が共働きという現役子育て世代。朝は子どもと自分の準備でバタバタ、帰宅後もやることが山積みで時間に追われる──そんな慌ただしい毎日を送っている方が多いと思います。子どもと過ごせる時間も限られるなか、気づけば叱ってばかり。『本当はもっと愛情を伝えたいのに……』と、夜に子どもの寝顔を見ながら後悔しているという声が多く寄せられました。
そうしたリアルなママたちの声に触れて、子育て世代が求めているのは“子どもとじっくり触れ合える時間”や、子どもの自己肯定感をあげるような“愛情をまっすぐに伝えられる手段”なのではないかと感じたんです」

1,344名のパパママアンケートから見えた、『自己肯定感が高まる歌』への期待感
その後、ワークショップから得たママたちの声を基に、楽曲のコンセプトやターゲットを模索。当初は「自己肯定感」というアイデアだけでなく、「令和の童謡」や、子どもの行動を促す「スイッチ音楽」などのアイデアも出ていたという。そうしたアイデアを比較検討しながら、丁寧に方向性を固めていった。
また、「with class mama」メンバーがより幅広い子育て世代の声を探るために、アンケートを実施。全国のパパママに「これからの子ども向け音楽に期待することは何か」を尋ねたところ、6割以上が「子どもの自己肯定感を高められること」と回答するなど、明確なニーズが見えてきた。
「楽曲のコンセプトが決まるまで、何度も意見を交わしたのを覚えています。多様な方向性が考えられるなかで、やはり大切にしたかったのは、“子育て世代のリアルな声”。ワークショップやアンケート結果から、あらためて『子どもの自己肯定感を高められる音楽』が求められていると実感しました。さらに、ちょうどその頃とある音楽番組で“自己肯定感がアガる自分応援ソング特集”が組まれているのを目にしたんです。時代的にも、まさにいま必要とされているテーマだと感じました」

「また、どの年齢層をターゲットにするのかも大きな焦点でしたね。ひとくちに“子ども向けの音楽”といっても、対象は乳幼児から小中学生まで幅広いですし、年齢によって音楽との接し方も全く違います。議論を重ねた結果、今回は、0歳から未就学児のお子さんを持つ子育て世代に寄り添う音楽をつくろうと決めました。育児に最も手がかかり、悩みや不安も尽きないこの時期。ママたちが何かにすがりたくなる、そんな時に支えになるような音楽を目指しました」
構想から1年以上。親子の触れ合いが高まる1曲『チューざぶろー』が誕生
その後もママたちへのヒアリングや綿密な打ち合わせを重ね、1年以上にわたる構想を経て誕生した、「KIDS MUSIC PARK」第一弾楽曲『チューざぶろー』。子育て世代の声から見えてきた「自己肯定感」をキーワードに、音楽ユニット・ケロポンズによって制作された楽曲だ。
ケロポンズは、1999年に結成した増田裕子(ケロ)と平田明子(ポン)からなる音楽ユニット。子ども向け音楽や振付を手掛けている。代表作『エビカニクス』は、保育園や幼稚園で定番の体操曲として人気を集めており、YouTube動画再生回数は1億6千万回を突破。幅広い世代に親しまれ、今もなお多くの家庭で愛され続けている。
「ケロポンズは、2024年に活動25周年を迎えた、子育て世代で知らない人はいないほどの人気アーティストです。これまで一貫して子どもたちのための音楽を追求し続けてきました。ママたちへのヒアリングでもケロポンズの人気は非常に高く、世代を超えて愛されているアーティストとして間違いないと思いました」
また、「with class mama」とのワークショップで「子どもたちは、保育園や幼稚園で習った音楽を家庭でも自然に口ずさむ」というインサイトも得られていた。そうした保育現場との親和性の高さも、ケロポンズに楽曲制作を依頼する決め手の一つだったという。
制作にあたっては、ママたちから寄せられていた「自己肯定感」というテーマにとどまらず、忙しい毎日でも子どもに愛を伝えたい、「ハグ」や「チュー」など親子のふれあいを促すワードを入れてほしいなど、子育て世代のリアルな声をケロポンズに共有。子育て世代の想いに寄り添う楽曲づくりがスタートした。

楽曲がある程度かたちになった段階で、「with class mama」のママたちとケロポンズによる座談会を実施。楽曲制作プロセスでも意見交換を欠かさなかったという。(ケロポンズとの座談会の様子は、「with class」にて公開中)
「座談会では、『“ハグ”と“ぎゅーっ”だと、どちらの歌詞がいい?』とケロポンズのお2人からアイデアを求められたり、ママたちから『こういう振り付けはどう?』という意見が出たりと、本当に一緒につくっている実感がありましたね。『一緒につくる』ということを大切にしていた私たちにとって、『チューざぶろー』はまさにその想いが形になった楽曲だと思います。
そうしたコミュニケーションを経て完成した『チューざぶろー』に出てくるのは、いたずら好きな男の子。ママは毎日バタバタだけど、それでも『そのままの君が好き』という、親の愛情を感じられる一曲だと思います。歌詞もとても覚えやすくて、親も子どももつい口ずさんで、ハグをしてしまような魅力があるんですよね。実際にリリース後、ケロポンズさんのイベントに行ったのですが、この曲で親子が踊りながら自然とハグをしている姿を見て、本当に嬉しかったです」

2024年12月4日 配信リリース・2025年2月19日 CDリリース
デジタル配信リンク:https://keropons.lnk.to/Chuzaburo
ユニバーサル ミュージック ストア:https://store.universal-music.co.jp/product/uicz5173/
今回は『チューざぶろー』のほかにも、2曲の楽曲が発表されている。『バナナバネバネ』は、子どもたちが思わず飛び跳ねたくなるようなリズムが特徴。バナナをイメージしたケロポンズらしい振り付けも魅力の一つだ。『ピカフル』は、多様性や自己肯定感がテーマ。「この楽曲を聞いたプロジェクトメンバーのパパが、思わず泣いてしまったという話もありました。隠れた名曲だと思います」と大平さん。親も子も、自分らしくいることの素晴らしさを歌った一曲だ。
発表会やプレイリストを通して、ママたちと共に届ける──親子の絆を深める音楽の時間
2024年12月4日には、東京・池袋で「KIDS MUSIC PARK」プロジェクト発表会が開催された。第一部には、ケロポンズの2人やベストマザー賞受賞歴のあるタレント藤本美貴さん、with class編集長の岡本朋子、「with class mama」ディレクターでインフルエンサーのじママさんが登壇。子育てトークで会場を盛り上げた。

第二部では、一般の親子を招いたケロポンズのミニコンサートが行われ、『チューざぶろー』が披露された。大平さんはイベントを振り返り、「このイベントが初披露だったため、どのような反応があるかドキドキしましたが、さすがケロポンズ。一瞬にして親子の心をつかんでいましたね。会場では、一生懸命振り付けを覚えて踊る親子の姿があって、とても感慨深かったです」と語る。(イベントレポートは、「with class」にて公開中)
また、楽曲リリース後はママインフルエンサーがInstagramアカウントで多角的に情報を発信。投稿について大平さんは、「発信の内容が個性豊かで興味深かった」という。

「イヤイヤ期に関する発信を多くしているふじこせんせい(@fujico143cm)は、イヤイヤ期の子どもと向き合う日常にフォーカスして楽曲を紹介してくれました。また、にこはなさん(@nicohana.ouchi)は、4人のお子さんとパパママ全員で『チューざぶろー』を踊る動画を投稿していらっしゃいましたね。発信の仕方にも、それぞれのママの強みや個性が出ているのが印象的でした」

そんな「with class mama」のママインフルエンサー20名が選曲したプレイリストも公開。親子の絆を深めるもう一つのコンテンツとして、家族全員で楽しめる楽曲がセレクトされている。
「プレイリストは、ママさんたちと一緒に、家族みんなで楽しめるプレイリストをつくりたいと思い企画しました。楽曲は、ケロポンズの新曲はもちろん、時代を問わず幅広いラインナップで構成しています。
実は私が所属しているレーベルでは、ユニバーサル ミュージックの持つ時代を超えて愛されているたくさんの楽曲を多くの人に楽しんでもらおうと、さまざまな取り組みをしているんです。今回のプロジェクトでも、そうした楽曲の魅力を活かしつつ、ママたちと一緒に企画をつくり上げることができました。まさに、私たちらしい取り組みになったと感じています」
広がり続ける、子育て世代の“心の居場所”づくり
子育て世代に寄り添い、そのリアルな声から生まれたプロジェクト。今回の歩みを振り返り、大平さんはこう語る。
「“⼦育て世代のリアルな声を元にコンテンツをつくる”という想いを実現することができたのは、『with class mama』のママインフルエンサーや、スタッフの皆さんの力があってこそだと思っています。特に印象的だったのは、参加してくださったママインフルエンサーの皆さんが、自分自身だけでなく、その先にいるフォロワーたちの声までも丁寧に汲み取って届けてくれたこと。全国のママたちの想いを背負って参加してくださっている、そんな姿勢が感じられて本当に心強かったです」

「KIDS MUSIC PARK」プロジェクトは、これからも続いていく。最後に、今後の展望について聞いてみた。
「音楽で子育て世代が抱える課題を直接解決するのは難しいかもしれません。でも、頑張っているママやパパの心に寄り添い、音楽を聴いている瞬間だけでも嫌なことを忘れられたり、子どもと一緒に笑い合えたり──音楽には、そんな普遍的な力があると思うんです。だからこそ、忙しい令和の子育て世代の『心の拠り所』になれるようなコンテンツを、これからも丁寧につくっていきたいです。
また、『KIDS MUSIC PARK』に込めた思いを、もっと多くの人に届けていきたいですね。そのためにまずは、プロジェクトに共感してくれる仲間を増やすことも必要だと考えています。『with class mama』の皆さん、そしてプロジェクトの理念に寄り添ってくださる新たな仲間と一緒に、次なる展開をつくっていけたら嬉しいです」
